販売奨励金請求書と適格返還請求書の交付
奨励金請求書に必要事項を記載で交付不要
販売促進の目的で、一定の商品を対象として、取引高に応じて、
取引先(売上先)に販売奨励金を支払うケースがある。そこで、販
売奨励金の精算に当たっては、取引先から交付される奨励金請求書
に基づき支払い、消費税については、売上に係る対価の返還等とし
て処理している場合、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に
おいては、取引先に対して、改めて、適格返還請求書を交付する必
要があるのだろうか。
販売奨励金は、売上に係る対価の返還等に該当するため、取引先
に対し、適格返還請求書を交付する義務がある。適格返還請求書の
記載事項は、(1)インボイス発行事業者の氏名または名称及び登録
番号、(2)売上に係る対価の返還等を行う年月日及びその売上に係
る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(イ
ンボイスを交付した売上に係るものについては、課税期間の範囲で
一定の期間の記載で差し支えない)。
さらに、(3)売上に係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡
等に係る資産または役務の内容(売上に係る対価の返還等の基とな
る課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産
の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)、(4)売上に係る対価の
返還等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した
金額、(5)売上に係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分し
た消費税額等又は適用税率、が記載事項となる。
上記の場合、取引先が作成する書類である奨励金請求書に販売奨
励金に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれ
ば、取引先との間で、売上に係る対価の返還等の内容について記載
された書類が共有されているので、改めて、適格返還請求書を交付
しなくてもよいことになる。
なお、インボイス制度の開始日である 2023 年 10 月 1 日以降につ
いては、売上に係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満であ
る場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除される。