複数年をまたぐ取引に係るインボイス交付
インボイスは課税期間ごとに区分して交付
国税庁はこのほど、インボイス制度の「多く寄せられるご質問」
を2問追加したが、その一つに、「複数年をまたぐ取引に係るイン
ボイスの交付」の取扱いがある。質問は、1年を超える期間にわた
って毎月保守(システムのメンテナンスなど)を行う役務を提供し
ている企業が、このように課税期間をまたぐような長期間にわたる
課税資産の譲渡等について、対価の前受け時にまとめてインボイス
を交付してもいいのかというもの。
回答によると、インボイス発行事業者である売手は、国内におい
て課税資産の譲渡等を行った場合、取引の相手方(課税事業者に限
る)の求めに応じ、インボイスを交付する義務が課されている。こ
のインボイスの記載事項である「課税資産の譲渡等を行った年月
日」については、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資
産の譲渡等につき、まとめてインボイスを作成する場合には、その
一定の期間を記載することになる。
ただし、「課税期間の範囲内で」とあるとおり、一定の期間をま
とめてインボイスを交付するとしても、取引の期間が売手の課税期
間をまたぐ場合には、インボイスは課税期間ごとに区分し交付する
ことが原則となる。他方、課税期間をまたぐ期間に係る取引をまと
めて一のインボイスに記載することも妨げられるものではなく、ま
た、課税資産の譲渡等を行う前にインボイスを交付することも可能
となっている。
結論として、そうした点と請求書交付実務の簡便性という観点か
ら、例えば、毎月の保守契約のように一定期間継続して同一の課税
資産の譲渡等を行うものについては、売手である事業者がインボイ
スの交付対象となる期間、継続してインボイス発行事業者である限
りにおいて、課税期間の範囲を超える期間をまとめてインボイスを
交付することとも認められるとの弾力的な対応が示されている。