税理士法人吉井財務研究所

  • トップ
  • 相談事例集
  • 複数年をまたぐ取引に係るインボイス交付 インボイスは課税期間ごとに区分して交付
複数年をまたぐ取引に係るインボイス交付 インボイスは課税期間ごとに区分して交付
消費税

複数年をまたぐ取引に係るインボイス交付
インボイスは課税期間ごとに区分して交付

国税庁はこのほど、インボイス制度の「多く寄せられるご質問」
を2問追加したが、その一つに、「複数年をまたぐ取引に係るイン
ボイスの交付」の取扱いがある。質問は、1年を超える期間にわた
って毎月保守(システムのメンテナンスなど)を行う役務を提供し
ている企業が、このように課税期間をまたぐような長期間にわたる
課税資産の譲渡等について、対価の前受け時にまとめてインボイス
を交付してもいいのかというもの。
回答によると、インボイス発行事業者である売手は、国内におい
て課税資産の譲渡等を行った場合、取引の相手方(課税事業者に限
る)の求めに応じ、インボイスを交付する義務が課されている。こ
のインボイスの記載事項である「課税資産の譲渡等を行った年月
日」については、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資
産の譲渡等につき、まとめてインボイスを作成する場合には、その
一定の期間を記載することになる。
ただし、「課税期間の範囲内で」とあるとおり、一定の期間をま
とめてインボイスを交付するとしても、取引の期間が売手の課税期
間をまたぐ場合には、インボイスは課税期間ごとに区分し交付する
ことが原則となる。他方、課税期間をまたぐ期間に係る取引をまと
めて一のインボイスに記載することも妨げられるものではなく、ま
た、課税資産の譲渡等を行う前にインボイスを交付することも可能
となっている。
結論として、そうした点と請求書交付実務の簡便性という観点か
ら、例えば、毎月の保守契約のように一定期間継続して同一の課税
資産の譲渡等を行うものについては、売手である事業者がインボイ
スの交付対象となる期間、継続してインボイス発行事業者である限
りにおいて、課税期間の範囲を超える期間をまとめてインボイスを
交付することとも認められるとの弾力的な対応が示されている。