5、事業承継
ケース9
・父(創業者)は高齢になるので、そろそろ引退し、専務として頑張っている長男へ会社の経営を任せたいと考えているが、株価が高いので譲渡できない
長男に下記の信託財産を託す信託契約を結ぶ。
【信託内容】
委託者 父
受託者 長男
受益者 父
信託財産 自社株式
信託契約終了事由 父の死亡
帰属権利者 長男
〈効果〉
・父が知症などで判断能力が低下してしまうと、議決権を行使することができなくなり、会社の経営がストップしてしまう。
・信託契約を活用することにより、長男が変わって議決権行使することが可能。
・その後も、継続的に株価対策を行い、株価評価を下げることができる
ケース10-1(認知症対策もしたい)
・ ゆくゆくは長男に会社を継いでほしいとは思っているが、現段階ではまだ当
面は自分が実権を握っていたい。教育をしながら、会社を引き継がせたい
また、自分も高齢なので、判断能力が衰える前に対策しておきたい。
長男に下記の信託財産を託す信託契約を結ぶ。
【信託内容】
委託者 父
受託者 長男
受益者 父
信託財産 自社株式
信託契約終了事由 父の死亡
帰属権利者 長男
※父が元気なうちは指図権者とする
〈効果〉
・父の元気なうちは指図権者とすることで、議決権の行使は、「指図権者父」の指示に従い、長男が議決権行使を行うこととなる。
・その結果自社株式の名義を長男へ移しつつ、父のもと、長男の後継者教育を行うことが可能
・父が認知症等により判断能力が低下し、指図権を行使することができなくなった際には、指図権の行使がない状況となるため、長男が単独で議決権行使を行える。
・父の認知症対策をしつつ、長男への経営権譲渡はタイミングを見計らうことができる。
ケース10-2(株価の低い今のうちに長男へ贈与したい)
・ ゆくゆくは長男に会社を継いでほしいとは思っているが、現段階ではまだ当
面は自分が実権を握っていたい。教育をしながら、会社を引き継がせたい
また、今後株価が上がることが予想されるので、今のうちに渡しておきたい
まず長男へ自社株式の生前贈与をする
次に、長男に下記の信託財産を託す信託契約を結ぶ。
【信託内容】
委託者 長男
受託者 父
受益者 長男
信託財産 自社株式
信託契約終了事由 父と長男の合意
帰属権利者 長男
〈効果〉
・認知症対策にはならないが、株価が低い段階で生前贈与を行い、信託契約により、受託者を父とすることで、父が従前通り議決権を行使することができる。
・今後は、長男の成長のタイミングを見計らい、任せられると判断した時点で、合意終了の上、信託財産である株式を長男へ完全に帰属させる。