税理士法人吉井財務研究所

法人住民税、「法人税割」「均等割」の違い
法人税

法人住民税、「法人税割」「均等割」の違い

「均等割」は赤字法人も支払う必要あり

 

法人住民税とは、会社などの法人のほか、財団や社団など収益事業を行うものに課される地方税で、個人の住民税と同様に、都道府県民税と市町村民税がある。法人住民税の課税標準は3つあり、1つは法人税額で、この課税標準を用いて、「法人税割」という住民税の金額が算定される。残りの2つは従業員数と資本金で、これらの課税標準を用いて、「均等割」という住民税の金額が算定される。

法人税割は、地方自治体によって税率が決められており、一定の割合にしている自治体もあれば、資本金や所得(利益)に応じて割合を変える自治体もある。事務所や事業所が複数の自治体にある場合は、従業員数等を基準にして、法人税の金額を地方自治体ごとに分割し、分割された金額を基に、その地方自治体に支払う法人税割の金額を計算することになる。

法人税割は、法人税額を基礎として課税されるので、決算が赤字の場合はゼロとなる。

一方、均等割は、従業員数や資本金の金額をもとに算出して課税する住民税で、各地方自治体ごとに金額が定められている。また、法人税割と同様に、各地方自治体が課すべき目安という意味での「標準税率」と、各地方自治体が課税することが可能な上限を示した「制限税率」(市町村税のみ)がある。都道府県税の均等割は「制限税率」がないので、各都道府県は均等割の金額を自由に設定できる。

この均等割は、対象となる法人であれば支払う必要があるので、決算が赤字になった場合も支払わなければならない。例えば、東京都の場合には資本金1000万円以下で従業員が50人以下の場合には、均等割は7万円となっている。なお、2019年時点の東京都の均等割は標準税率と同率に設定されており、超過税率は設定されていない。また、特別区の場合は市町村の区分がないため、東京都が市町村税に相当する分の法人住民税も徴収する。