これまでは高齢者の財産管理として、遺言・成年後見制度などを利用してきました。
人生100年時代。認知症になってからも人生は続きます。
超高齢社会の現在で、新たな社会問題である「認知症による資産凍結」など
今までの方法では解決できないケースやトラブルが増加しています。
そしてこの社会情勢に伴い、新たな対策制度も取り上げられてきています。
その一つが「民事信託(家族信託)」です。
認知症になる前に、万全な対策をしておく必要があります。
将来、自分の家族が困らないために、また、認知症後も自分の希望通り資産を活用するためにも、早めに手を打たなければなりません。
認知症のことが不安になった今が、対策の時期です。少しでも早く対策をしましょう。
その危機感が、将来のトラブルを防ぎます。
認知症対策としての民事信託
民事信託とは、「家族を信じて託する」契約です。
高齢になり、今後に不安がある方の財産の管理権を、信頼できる家族に託すことができます。
裁判所や後見人、専門家の介入を必要としないので、財産管理に制限されることはありません。
契約内容は、自由に細かく決めることができます。
なので報酬についても、原則不要。
家族の信頼関係の上に成り立つ契約です。
契約の自由度が高いため、それぞれの家族の状況にあった契約をすることができます。
契約成立には、契約当事者双方に意思能力が必要です。
契約後に、財産を託した本人が認知症になっても、意思がはっきりしている時に契約した内容に沿って、託された人が管理することができます。
認知症対策としての任意後見契約
認知症になる前に、意思がある段階で、もし自分が認知症になってしまったとき、「この人に全財産の管理・契約を行ってほしい」という後見人を決めておくものです。
裁判所が介入するため、制度としては厳格です。
近年、親族などの横領事件が勃発していることから、専門家や裁判所により厳重に監督されます。
財産の管理のみならず、身の回りの契約や遺産分割協議にも代わりに参加できます。
一方、後見人への報酬支払が必要であったり、
財産の管理処分に制限がかかったり、
煩雑な手続きを経なければ財産処分ができないなどの、
利用者にとってはうれしくない条件が付いてきてしまいます。
認知症対策としての遺言作成
遺言は、すべての財産について、承継先を決めることができる唯一の方法です。
民事信託では、一部の財産しか契約できません。
また、民事信託も、絶対的な契約ではないので、裁判を起こされて無効にしまう可能性も考えられます。
任意後見契約では、認知症後の財産管理を任せる制度なので、承継先は決められません。
また、相続人が認知症であるケースにも有効です。
遺言を書かずに死亡した場合、遺産分割協議を行わなければなりません。
相続人が認知症である場合は、「後見人」を立てなければ遺産分割協議ができず、費用や手間が多くかかってしまいます。
上記の制度などを組み合わせて、自分にあった対策が求められます。
認知症対策のための財産管理についても、お気軽にご相談ください。