インボイス制度における出張旅費等特例
帳簿のみの保存により仕入税額控除可能
インボイス制度においては、従業員等に支給する出張旅費、宿
泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部
分の金額については、帳簿のみの保存による仕入税額控除ができ
る出張旅費等特例がある。
出張旅費等に係る社内規程や基準の有無にかかわらず、また、
概算払いによるものか、実費精算によるものかにかかわらず、通
常必要であると認められる部分は特例の対象となることとされて
いる。
「通常必要であると認められる部分の金額」は、所得税基本通
達9-3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。そ
れは、使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の
支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、
目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内
容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出
に充てられると認められる範囲内の金品である。
社内規程や基準の有無、概算払いか実費精算に関わらずとは、
例えば、社内規程で、「1回の旅行当たり 3,000 円」とある一方、
所得税非課税の範囲は 10,000 円と認められる場合に、8,000 円支
給した場合は 8,000 円が特例対象となる。また、何らの規定もな
いが、社員が出張にかかった交通費 10,000 円を実費で請求してき
たので、支払ったケースでは、10,000 円が通常必要と認められる
のであれば、特例対象となる。
実費精算が用務先に直接支払っているものと同視しうる場合、
通常必要と認められる範囲か否かに関わらず、インボイスの保存
により仕入税額控除ができる。その場合、3万円未満の公共交通
機関など、他の特例の対象になるものであれば、帳簿のみの保存
で仕入税額控除可能となる。「通常必要であると認められる部分の
金額」を超える部分は使用人等に対する「給与」として、仕入税
額控除の対象外となる。