令和5事務年度の所得税調査状況
申告漏れ所得金額と追徴税額は過去最高!

このほど国税庁は令和5事務年度(令和5年7月~同6年6月)
における所得税の調査等の状況を発表した。
税務調査の選定にはAIを活用するなど、より効率的に調査を進
めた結果、申告漏れ所得金額の総額及び本税と加算税を含めた追徴
税額の総額は過去最高を記録している。
実地調査と簡易な接触を合わせた「調査等」の合計件数は 60 万
5千件になり、うち申告漏れ等の非違があった件数は 31 万1千件
に上り、税務調査を行った2件に1件強から申告漏れが判明してい
る。ちなみに、実地調査の件数は4万8千件、うち特別調査と一般
調査が3万7千件、着眼検査が1万件となり、また簡易な接触によ
るものは 55 万8千件になっている。
一方で、「調査等」による申告漏れ所得金額は 9,964 億円になり、
前事務年度の9,041億円を10ポイント上回る大幅な伸びとなった。
「実地調査」による申告漏れ所得金額は 5,516 億円、「簡易な接
触」は 4,448 億円となり、前者の内訳は特別調査と一般調査で 5,081
億円、着眼調査では 435 億円となっている。
「実地調査」による追徴税額は、特別調査と一般調査によるもの
が 1,019 億円、着眼調査では 47 億円の合計 1,066 億円に上り、前
事務年度の 1,015 億円から5ポイント増加して、1件当たりの追徴
税額は 224 万円となっている。
この「実地調査」と「簡易な接触」を合わせた追徴税額は実に総
額 1,398 億円となり、これも前事務年度の 1,368 億円を上回り、過
去最高を記録した。
なお、所得税のうち譲渡所得に係る調査件数は1万7千件、その
非違件数が1万3千件となり、申告漏れ所得金額は 1,460 億円にな
っている。
所得税調査も手ぬかりなく進めていることでもあり、申告の際は
今一度チェックを試みるなど十分に留意したい。