総額 9741 億円にのぼる法人の申告漏れ
調査件数の 22.3%から悪質な仮装・隠蔽!
国税庁が公表した令和5事務年度(令和5年7月~同6年6月)
における法人税等の調査事績によると、大口・悪質な不正計算等
が想定されるなど調査必要度の高い5万9千法人(前年対比
94.6%)を実地調査した結果、総額 9,741 億円(同 124.9%)の申
告漏れを見つけた。追徴税額は 3,197 億円(同 99.1%)で、直近
10 年において2番目に高い金額となり、調査1件当たりの追徴税
額は 549 万7千円(同 104.9%)になった。
調査件数の 22.3%に当たる1万3千件が故意に所得を仮装・隠
蔽するなどの不正を行っており、その不正所得金額は 2,775 億円
で、1件当たりでは 2,124 万5千円となっている。
また、申告内容に誤り等が想定される法人を対象に簡易な接触
により自発的な申告内容の見直し要請を7万件実施したところ、
申告漏れ所得金額は 92 億円で過去最高を記録した。
法人税等調査の主要な取組として、1消費税還付申告法人に対
する取組、2海外取引法人等に対する取組、3無申告法人に対す
る取組の3つが挙げられている。
消費税還付申告法人に対する取組では、総額 390 億円が追徴課
税となり、そのうち不正還付分は 81 億円となった。
海外取引法人等に対する取組においては、増加する輸出入取引
や海外投資を行う法人を対象に厳正な調査を実施しており、海外
取引に係る申告漏れ所得として総額 2,870 億円を把握し、海外取
引に係る源泉徴収漏れとして総額 46 億円を追徴している。
無申告法人に対する取組では、総額 219 億円を追徴し、うち不
正計算があった法人に係る追徴税額は 101 億円となっている。
不正を業種別にみると、不正発見割合の高い 10 業種では、前年
ランク外であった「バー・クラブ」がワースト1位。以下、前年
ワースト1位の「その他の飲食」が2位、前年ランク外の「外国
料理」が3位、前年4位の「土木工事」が本年も4位、「美容」が
前年 10 位から大幅にアップし5位となっている。